『長命商品と長寿商品』
医学的な長命と長寿の考え方

 通常、医師は「長寿を全うしても、単なる長命であってはならない」と言います。それは、長命はただ延命の努力はするだけの高齢者を指し、寝たきりとか、ぼけで周囲の世話を必要として生きている状態の人を示すからです。このような人は、もちろん本人が望んでいるわけでないことは理解できますが、ただ生きているだけ、と言うことになりますと問題だと言うことになります。
 それに反して、長寿は違います。周囲の方々の世話になるどころか、元気や勇気を与えます。場合によっては、高齢者でありながら、若い人びとを指導するところがあります。
 以上の長命、長寿の観念から、商品を検討した場合、どうなるのかです。長命商品は、いつまでも売れないで、陳列コーナーに置かれているだけの商品と言うことになります。
 このような商品が増えますと、「不良在庫」の状態に陥り、テンポはおろか、その商品を製造しているメーカーにも打撃を与えることになります。
 それではなぜ、長寿商品が誕生するのかです。基本的には「定期検診」にあります。
検診により、予防処置を採ります。そこに長命と長寿の大きな違いが生じます。われわれは病気になってから、あれこれ反省しても手遅れでし。 私たちは、長生きをするために、事前にいろいろ工夫を凝らしていますが、その工夫は、商品開発においても同様に、必要だと言うことです。

長命商品と長寿商品の差異

 ベッドに横たわる高齢者は、陳列者に置かれ、一向に売れないでいる長命商品に似ている。身寄りも寄りつかないで放置されている高齢者には、暖かい配慮が必要である。
 商品の擬人化政策がある。つまり、年齢に関係なく、また性別に関係なく魅力的な人がいる。時には、そのような人に恋をする場合がある。もしそれが商品であれば、その商品を何としても独占したい、所有したいという状況を表している。
 人によっては、運を呼び込むために、改名することがある。ブランド名の変更である。地味だといわれている人は、時には派手な衣服を身にまとうことにより、イメージを変えることも可能である。つまりパッケージの変更である。人間の体は、容易に変形できない。例えば、背の低い人は高くできない。肥えている人は、簡単に贅肉をそぐことはできないが、商品であれば、サイズの変更により、キング・サイズ、ミニ・サイズと変更して、違った商品を開発することが可能となる。商品の性能は、われわれの能力である。性格は、商品の品質である。また商品の用途は、職業である。社会階級は、価格である。
 以上を総合して、活力ある、ビジネス・エリート、気品のある貴婦人、清純な女学生をイメージして商品化政策を展開すること、商品開発にはそのような発想が必要である。